【国立研究】海面の異常高温が急増、日本周辺で２倍以上起きやすく　温暖化が影響

　地球温暖化の影響で、日本周辺で海面水温が異常に高くなる現象が少なくとも２倍以上起きやすくなったとの研究成果を、国立環境研究所の研究チームが発表した。論文が専門誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズに掲載された。

海面水温が急上昇し、高温の状態が続く現象は「海洋熱波」と呼ばれる。近年、世界各地で観測され、海の生態系や漁業への影響が懸念されている。

　研究チームは、産業革命前の状況が続いて温暖化が起きなかった場合と、人間が温室効果ガスなどを排出して温暖化が起きた場合について、日本周辺の海面水温を計算して比較した。

　その結果、温暖化がなければ２０年に１回以下しか起きないレベルの異常高温が、温暖化が進んだ２０００年以降は急激に増え、多くの海域で２～１０倍以上起きやすくなっていた。

　産業革命前からの気温上昇幅が２度に達すると海面の異常高温が常態化するが、１・５度に抑えると常態化を防げる可能性が高まった。チームの林未知也・特別研究員は「気温の上昇を抑えることが大事」と話す。

　北海道大の見延庄士郎教授（気候科学）の話「海洋熱波が起きやすくなっていることを示した重要な研究成果だ」

https://www.yomiuri.co.jp/science/20221018-OYT1T50326/